top of page

「在庫管理アプリを作ってみる①」 — スキャンから商品登録フローまで



前回は、現場で起こりがちな「在庫管理・棚卸しのしんどさ」と、現場に合わせてツールをカスタマイズする考え方を紹介しました。今回は、実際にアプリを作っていきます。

ノーコードツール AppSheet を使って、まずは、在庫管理アプリの“入口”になる 「商品登録」 の流れを作っていきます。



デモ用として、以下の動画のようなアプリを作っていきます。

初心者でも数日で作成が可能です。基本を押さえたら、それぞれの現場に合わせて、ぴったりのアプリを作っていくことが可能です(もし、伴走して一緒に作ってほしいなどのご要望があれば、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください)





はじめに:どんなデザインのアプリにするか?



まず全体像から。今回作るアプリのデザインは、ひと言でいうと

「現場の動線を、そのままアプリにする」

です。


現場の在庫管理でストレスとなることの一つは、「どの画面に行けばいいか迷うこと」。

覚える必要があり、かつ誰かに委託するときには「教える」という手間も。

だから、アプリの入口を “バーコードスキャン”に固定 して、ユーザーが考えなくても次に進める導線を作ります。


在庫登録のフローを以下のものに確定します


  1. 商品のバーコードをスキャン(ここが起点)

  2. 商品未登録案内(未登録商品の場合のワンクッション。登録があれば「4」へ。)

  3. 商品登録フォーム(新規登録)

  4. 在庫登録フォーム(登録済み商品の数量更新)



そして下部のツールバーには最小限のページだけ置きます。


  • バーコードスキャン(最重要)

  • ダッシュボード

  • 商品一覧(全体確認)


バーコードスキャンから商品登録まで自動遷移する在庫管理アプリのデモ動画

※ダッシュボードや在庫登録は次回以降で追加。今回は「アプリの入口である始めのステップ」を作成する回です。



以下のフロー図のように、次々に遷移するアプリを作ることで「どの画面に行けば良いのか」を覚える必要もなく、誰が使っても同じように在庫管理ができるツールを作ります。


在庫管理アプリの処理フロー図(バーコードスキャン→登録判定→新規登録→在庫更新)



1)スタート地点は「バーコードスキャン」だけにする



現場で一番迷いが無い動きは、だいたい共通しています。

「手に取ったものを、その場で読み取る」

それに合わせ、アプリの起点を「バーコードスキャン」にします。


ホーム画面に機能を並べると、慣れていない人ほど探してしまう。

なので、最初の導線は徹底的にシンプルにします。


AppSheetのバーコードスキャン画面(バーコード欄からカメラ起動)

これが「バーコードスキャン」の画面。バーコードと書いてある欄の右端にあるアイコンをクリックすると、自動でスマホのカメラが起動します。


スマホカメラでバーコードを読み取り、数値を自動入力する画面

こちらが「バーコード」読み取りのために、自動で起動するカメラ画面。白い四角の中に、バーコードを合わせると、自動で「数字の読み取り」をしてくれます。簡単で、誰がやっても間違いが起きません。




2)スキャン結果を一旦受け止める



スキャンした瞬間に商品マスタへ書き込むより、

「スキャンした事実」を一旦記録する のが運用上おすすめです。


それに合わせて、最低限、以下を持たせます。


  • ScanID(一意のID)

  • バーコード(スキャン値)

  • スキャン日時

  • 作業者(今回は複数人運用を想定し、Enumで選択)



これがあると、後で「誰がいつ何をスキャンしたか」も追えますし、スキャン後の分岐ロジックも作りやすくなります。これらは先ほどの「バーコードスキャン」画面に用意しておきます。


バーコードスキャン後の画面(読み取った数字が自動で入力された状態)

スキャン後の「バーコードスキャン」画面。自動でバーコードの数字が書き込まれていますね。




3)スキャン後の分岐:「既存」か「新規」か



ここからがアプリらしい部分です。

スキャンしたバーコードが 以前にスキャンされたかどうか (つまり、すでに登録がある商品かどうか)で、遷移先を分けます。


  • すでに登録済み → 在庫更新画面へ

  • 未登録 → 「未登録です。新規登録してください」ページへ → 商品登録フォームへ



この分岐を作ると、現場は「次に何をすればいいか」で迷いません。

新規商品が多い現場ほど、この誘導が効きます。



未登録商品の案内画面(新規登録へ誘導するメッセージとボタン)

こちらが商品登録がなかった場合の画面。メッセージが表示され、商品登録へ誘導されます。この際、商品登録ページへ遷移する「商品登録へ」というアイコンを「1つだけ」作っておくと、さらに迷いを低減できます。煩雑な画面は、プロっぽい見た目でスタイリッシュですが、機能選択が多ければ多いほど「迷い」を生み、間違いや、迅速でない操作につながります。




4)商品登録後は「次にやること」まで用意しておく



商品登録が終わったあと、ユーザーの次の行動はほぼ決まっています。


「じゃあ在庫を登録しよう」 です。


なので登録後は、 「在庫登録へ」 の導線(アクションボタン)を置いたページに遷移させるのがおすすめ。


“登録できたけど次に何をするか分からない” をなくすだけで、現場の使いやすさが一段上がります。


商品登録後の画面(次の作業として在庫登録へ進める導線がある)



まとめ:この回で作るのは「迷わない入口」



今回は、在庫管理アプリづくりの前半として


  • 入口は バーコードスキャン に固定

  • すでに登録があるかどうかで遷移を分岐

  • 未登録は「未登録案内」→「商品登録」→ 「在庫登録」



という、“現場で迷わない入口” を形にしました。


実はこれ、定期的な「棚卸し」の際にも有効


在庫日のバーコードをスキャンするだけで「商品詳細」画面に遷移するので、表示の個数と在庫数を比較するだけ。もし個数に違いがあった場合には、「在庫登録」画面にアイコンから遷移し、個数の修正ができます。

その際「棚卸しによる補正」であることを記録できるようにしておけば、後々に振り返りもできますね。



次回はこの「在庫登録」がメイン。

在庫登録(仕入れ・出庫・廃棄)とログの自動記録、消費期限管理やダッシュボード作成について、具体的に紹介します。


ご不明点や、カスタマイズツール作成についてのご相談をお問い合わせフォームより承っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。




Comments


bottom of page